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フクロウの神がみずから歌った「銀の滴(しずく)降る降るまはりに」

『フクロウの神がみずから歌った「銀の滴(しずく)降る降るまはりに」を見てみよう。長文なので、ごく一部を掲げる。句読点などは適宜挿入した。

  知里幸恵 作【アイヌ神謡集】
 《「銀の滴降る降るまはりに、金の滴降る降るまはりに。」
   と云う歌を私は歌ひながら流れに沿って下り、
   人間の村の上を通りながら下を眺めると、
   昔の貧乏人が今お金持ちになってゐて、
   昔のお金持ちが今の貧乏人になってゐる様です。
   海辺に人間の子供たちがおもちゃの小弓に、
   おもちゃの小矢をもってあそんで居ります。
  「銀の滴(しずく)降る降るまはりに、金の滴降る降るまはりに。」
   と云ふ歌を歌ひながら子供等の上を通りますと、
   (子供等は)私の下を走りながら云ふことには、
  「美い鳥!神様の鳥!さあ、矢を射てあの鳥、神様の鳥を射当てた者は、
   一ばんさきに取った者はほんたうの勇者、ほんたうの強者だぞ。」
   云ひながら、昔貧乏人で今お金持ちになっている者の子供等は、
   金の小弓に金の小矢を番(つが)へて私を射ますと、
   金の小矢を私は下を通したり上を通したりしました。
   其の中に、子供等の中に、一人の子供がたゞの(木製の)小弓に
   たゞの小矢を持って仲間にはいってゐます。
   私はそれを見ると貧乏人の子らしく、着物でもそれがわかります。
   けれどもその眼色をよく見ると、えらい人の子孫らしく、
   一人変り者になって仲間入りをしてゐます。》

文章はその後、その子を見て、今金持ちの子供があざけり、足蹴にするが、その子は構わず、絶えず私(フクロウ)を狙う。私はその様を見て不憫に思い、「銀の滴り降る降るまはりに」と歌いながら、大空に弧をえがく ———。
フクロウの神が昔と今を見つめながら、アイヌ民族と和人の立場を指摘しているのを知ることができる。』
【北海道、地名の謎と、歴史を訪ねて】合田一道 著より

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阿寒にて(2016/05/30 撮影)
画像をクリックすると、拡大してご覧になれます。
by gogo3jihh | 2016-07-02 05:40 | エゾフクロウ (亜種)

人生午後3時(gogo-3jih)紀伊半島の山間から野鳥メインに発信。身近な自然風景に綴られる、野鳥らのいきいきした表情が撮れたらイイネ!リンク・フリーです、どうぞ、ご自由になさってください。


by gogo_3jih
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