カテゴリ:シロフクロウ( 2 )

『 もう何年になるだろう。春になると、アラスカ北極圏のツンドラにシロフクロウを探し続けた。歩いても歩いても変わらぬ風景。ただただ、漠と広がるツンドラで、この一羽の鳥に出合うことは難しかった。双眼鏡に目をこらしても、どうしても白い点を見つけることができなかった。
シロフクロウは、極地に生きる巨大なフクロウである。翼を広げると約1.5メートル。フクロウ類は夜行性だが、シロフクロウだけは別だ。なぜなら、夏のアラスカ北極圏には夜がないのである。
1988年6月、北極海に注ぐコルビル川流域でシロフクロウの巣を見つけた。長い間会いたかった相手は、ツンドラの、なんでもない30センチほどの小山の脇に4つの卵を産んでいた。それとは知らずに歩いていたぼくは、気がつかないうちに親鳥を巣から離れさせていたらしい。ツンドラの遙か彼方に、白い点がポツンと見えるではないか。早くこの場を去らなければならなかった。卵が冷えてしまうのだ。
急いでザックを下ろし、カメラを取り出した。シャッターを切っておきたかった。アラスカを旅するようになってから、ずっと夢見ていたシロフクロウ。その営巣地を見つけたのだから・・・
突然、背中に強い衝撃があった。かがんでいたぼくは思わずバランスを失った。いったい何が起きたのだ。白い大きな翼が目の前から宙に舞い上がったかと思うと、一転して向きを変え、再びまっすぐこちらに向かってくる。フクロウの大きな黄色いふたつの目が、しっかりぼくを見据えていた。2度目の攻撃をやっとかわし、洲から離れた。セーターの下から背中に触れると、手が血で染まった。
1週間後、ブラインドを設営し、撮影が始まった。遮るものが何もない平坦なツンドラに、青いブラインドだけがしっかり飛び出している。なんとか慣れてほしかった。巣にうずくまりながら、はじめはじっとこちらを見つめていた親鳥も、しだいに落ち着きを取り戻していった。
直径20センチのブラインドの窓から、約1ヵ月の間、ぼくはその営巣行動を見続けた。4つの卵は無事にかえり、ヒナは親鳥が運んでくるレミング(ネズミの仲間)でどんどん成長していった。
ある朝、ブラインドの小さな窓からのぞくと、空っぽの巣と、どこまでも続くアラスカ北極圏の広がりだけが残されていた。』

【アラスカAlaska 永遠なる生命(いのち)】星野道夫 著 より


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ピエリ守山・めっちゃさわれる動物園にて(2015/10/26 撮影)
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by gogo3jihh | 2015-11-02 07:18 | シロフクロウ

まれな冬鳥として渡来

シロフクロウは、まれな冬鳥として北海道の草原や牧場などに渡来しますが、大雪山では夏の記録もあるようです。本州でも、秋田、山形、石川、岐阜、鳥取、広島の各県で記録があります。

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釧路動物園にて(2013/06/15 撮影)
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by gogo3jihh | 2014-10-05 10:15 | シロフクロウ

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by gogo_3jih
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